1996年から1998年にかけて4冊のみ出版された季刊誌です。
リチャード・カウフマン、ステファン・ホッブス、ジョン・ラッカーバーマーによる編集で、リチャード・カウフマンが出版しておりました。 この約10年前に出版されていたリチャード・オルマナックなどとは違い、日本語翻訳はこれまで出ておらず、今となっては知る人ぞ知る存在となっています。
1998年冬号は、ルッキング・グラスシリーズの最終巻(これより前号の日本語翻訳は現時点で未出版)です。
全78ページでカードマジックが7作品、カードマジックのアイディアあるいはスライトが3作品、コインマジックが1作品、それ以外のクロースアップマジックが2作品掲載されています。
執筆陣の名前からも推測できるように、初心者が読むようなものではありません。
スライトの大いなる活用から数理系まで、趣向も作品ごとに違いますが、重厚感のあるしっかり不思議な作品が揃っている点は共通で間違いありません。
今回、関西の奇術愛好家で多くの翻訳を手掛ける宮島 昇さんのご協力で日本語翻訳の出版となりました。お楽しみください。
- My spectator, The Clairvoyant Jack Birnman
(私の客は千里眼 / ジャック・バーンマン)
- エディー・ジョセフの数理的アイディアを使用したセミオートマチックマジックです。
- Divide and Conquer / Chad Long
(ディバイド&コンカー / チャド・ロング)
- コレクターのバリエーションです。デックの中に確実に1枚ずつJを混ぜていきますが、一瞬にしてトップ3枚の観客のカードを挟みます。
- Bottled Quicksilver / Toyozane Sanada
(ボトルに入る銀貨 / 真田 豊実)
- ハンギング・コインとコイン・イン・ザ・ボトルの要素を巧妙に組み合わせた作品です。 ソフトコインではない、レギュラーのワンダラーを4枚スライハンドで消すという挑戦はコインマン必読です。
- Even Higher Math / Larry Jennings and Bill Goodwin
(計算の結果 / ラリー・ジェニングスとビル・グッドウィン)
Company of Four / Roy Walton
(4が持つ驚異的な力 / ロイ・ウォルトン)
Spirits Between Your Palms / Peter Duffie
(両手が持つ霊力 / ピーター・ダフィー)
- エルムズレイの「Between Your Palms」に似た作品です。観客の手の中で、ずっと押さえてもらっていた状態で、ただのブランクカードがサインカードに変わります。衝撃的です。
- Combined Interests / Joshua Jay
(お気に入りの手順 / ジョシュア・ジェイ)
- カードマジックの様々なエフェクトを盛り込み、1つのルーティンとしています。 スペリング、変化、パケットトリック、出現とバリエーションに富んだ作品が楽しめます。
- Sweet & Lo! / Phil Goldstein
(砂糖がお好き? / フィル・ゴールドシュタイン)
- 幕間に演じられるような小ネタです。指名した客が砂糖が好きか、人工甘味料が好きかが予言されています。
- Pierced'ere / Phil Goldstein
(突き刺したカード / フィル・ゴールドシュタイン)
- アメリカのアニメ「サウス・パーク」をテーマにしたマジックです。エフェクトは理解不能ですが、マジシャンズ・チョイスに鉛筆を利用した方法は面白いです。
- Poof Change / Roy Walton & Peter Duffie
(プーフ・チェンジ / ロイ・ウォルトンとピーター・ダフィー)
- パームを利用したカラーチェンジです。
- Cutting After a Push-Through Shuffle / Gene Maze
(プッシュスルー・シャッフル後のカット / ジーン・メイズ)
- プッシュスルー・シャッフルを行う際に錯覚を強めるサトルティです。
- Lied and True / J.K. Hartman
(嘘と本当 / J.K.ハートマン)
- ダウン・アンダーの手順を嘘発見器の演出で行うセルフワーキング・トリックです。
- Card Cording by Permutation / Alex Elmsley
(カードの識別コード / アレックス・エルムズレイ)
- 5枚のカード(マジシャンも何のカードか知っている)の中から1枚のカードを抜き取ってもらいます。残りの4枚で抜き取られた1枚のカードが何かアシスタントに知らせる方法です。バリエーションとして客がマジシャンの友達に残ったカードを伝えるだけで、友人が抜き取られた1枚を当てることもできます。
- Our Readers Respond(読者の反応)
- ルッキング・グラスを読んだ読者の感想です。
- This is the End(終わりに)
- 季刊誌なのに完成に1年半かかったことへの感謝とGenii購読のお願い。
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